Jun 09th, 2017

働き方改革の目的は生産性向上である

株式会社YACコンサルティング 常務取締役 古髙 伸一

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単なる「長時間労働の是正」を目的とした働き方改革では太刀打ちできない

昨年の電通事件以降、労働基準監督署は事業所の⻑時間労働是正に対する監督指導を強化しています。現在、36協定における残業時間の上限は原則「月45 時間、年360 時間」までとされていますが、特別条項を付けて繁忙期の上限時間を延長できるため、過重労働を招いている現状があります。そこで政府は今年の3 月末に、繁忙期であっても「年720 時間、単月100 時間未満、2 〜6 ヶ月平均80 時間を上限とする」規制を盛り込んで働き方改革の実行計画をまとめ、労働基準法の改正を予定しています。
このような社会背景から、働き方改革=長時間労働是正であり、労働( 残業) 時間の短縮だけを目的とした改善方策を実践することが想定されます。具体例をあげると、残業の禁止( 強制退社)、仕事の持ち帰り、既存業務量を維持するための新たな人員補充および業務効率化のための設備投資などが考えられます。しかしながら、いずれも根本的な課題解決策には至りません。残業時間削減による生活給与の減少、従業員のモチベーションダウン、コスト増加にともなう利益減少、場合によっては売上減少が懸念されるからです。

企業( 特に中小企業) が働き方改革を推進していくにあたっては、「生産性向上」を目的として取り組むべき施策を先行して実践し、その成果として労働時間の短縮が獲得されると考えるべきです。

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長時間労働の是正と生産性向上を両立するための考え

中小企業が生産性向上を目的とした施策を考えるにあたって、第一に経営者および管理職は、これまでの認識を以下のように変える必要があります。

① 企業の経営資源は 「ヒト・モノ・カネ」+ 「時間」である

従来の経営資源に加えて、「時間」という観念を常に考えた経営を⾏うことが求められます。「生産性= 成果/ 総労働時間」であり、従業員の総労働時間を「有限資源」としてとらえるということです。
すなわち、経営者および管理職は、「誰に・どの業務を・どれくらいの時間」で業務を遂行していくことが、会社全体の最適な生産性向上の創出につながるかを考えた経営・管理をしていくことが重要となります。

② 既存の仕事のやり方・仕方では通用しない

今後は、少子高齢化にともなう人口減による国内市場の縮小や労働者人口減による雇用環境の激化など、これまでにはない厳しい経営環境下での経営をしていかなければ、中小企業の存続自体が危ぶまれることとなります。つまり、今までの仕事のやり方・仕方では通用しなくなると言えます。

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取り組みを実現する重要ポイント

取り組むべき課題としては、「すべての社内業務のやり方・仕方を再構築すること」にな
りますが、中小企業が抜本的な業務の見直しに取り組むには、多くの時間と労力を要します。そこで、業務にかかる「時間」を以下の観点から見直していくことが第一歩になります

  • (1) 既存の業務遂行時間の短縮化
  • (2) 共有する業務時間の見直し
  • (3) 「ムダ」と思われる時間の排除
  • (4) 短縮された時間の活用

(1)については、これだけでも生産性向上と言えますが、個々レベルではなく、部門、全社で
取り組むことで大きな成果につながります。

(2)については、「会議」、「打ち合わせ」、「朝礼」などの時間です。 「参加社員数×時間」を
「総業務時間(工数)」と考えたうえで、時間設定を見直すことも必要です。

(3)については、「物・書類・資料・データなどを探す時間」が想定されます。日頃からの管理
方法を含め、整理・整頓が大きく起因します。

(4)については、短縮された時間を付加価値を創出する業務遂行に充当することですが、
一番重要なポイントであると言えます。

各部門が同様の認識を持って、目的・目標を共有化したうえで全社員が一丸となって取り組まなければ、「生産性向上」は実現することはできません。そのためには、各部門から選抜した働き方改革推進者がプロジェクトメンバーとなり、各部門の現状および課題、取り組むべき施策をともに協議し、スケジューリング・実践していくことがポイントとなります。
 

次回は、上記の認識①および②をふまえ、営業部門での働き方改革を推進していくための現状分析方法、取り組むべき具体的実施策について実例を交えて記すこととします。

   

        

    

古髙 伸一 株式会社YACコンサルティング 常務取締役 

中小企業の経営計画および営業戦略の策定から、経営計画にもとづく個人レベルの具体的行動計画の立案および達成するための支援を行っています。また、生産性向上を目的とした業務改善活動として部門および個人のPDCAマネジメントサイクルを確立する人材育成に注力しています。

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