Oct 12th, 2017

営業部門での働き方改革への取り組み

株式会社YACコンサルティング 常務取締役 古髙 伸一

「働き方改革の目的は生産性向上である」では、中小企業が働き方改革を推進していくにあたっては、経営者および管理職は、①企業の経営資源に「時間」の観念を考える ②既存の仕事のやり方・仕方では通用しないという認識をもつことと述べてまいりました。そのためには、3つの実施手順を踏んで進める必要があります。

  • 働き方改革の実施手順
  • 1 現状把握
  • 2 現状分析および問題点の抽出
  • 3 課題解決のための具体的実施策

本コラムでは、営業部門で働き方改革を推進していくための上記1・2の手順を事例を交えて具体的に記すことといたします。

1

現状把握

営業部門での生産性とは「時間あたりの付加価値(売上、利益、効果など)」です。

生産性を向上するためには、現状の業務時間の実態および既存顧客の属性を正しく把握することが必要となります。

1.業務別に時間を分類・集計する

通常、実施している各業務にどれだけの時間を費やしているかを営業担当者全員が日々記録し、担当者ごとの集計および部門全体での集計をします。以下の項目を参考に、1~2ヶ月程度の期間で業務時間を分類してみましょう。

      

2.顧客属性から評価・分類する

顧客を現在の購買実績および将来の潜在的購買力の視点から評価を行います。

・ABC分析を行う

前年度売上金額順(降順:高い順)に顧客を並び替え、各顧客の売上構成比および
構成比累計を算出します。構成比累計で3段階のランクづけを行います。

      

・購買ポテンシャル分析を行う

前年度取引実績のあった顧客の現状(取引実績の時系列的推移、取引条件、回収状況など)、今後の事業規模見込みおよび顧客が属する業界動向などを総合的に勘案します。
今後、自社が提供する商品・サービスに対しての「潜在的購買力」をどの程度有しているかを見極め、評価付けを行います。(5段階評価)最終的には、経営者および管理者が協議して、顧客ごとの評価を決定します。

購買ポテンシャル分析のヒント

下記の各項目を参考に顧客を評価し、評点を合計した結果で分類します。ただし、債権回収の状況が思わしくないなど項目の評価結果によっては対象顧客から除外することも検討しましょう。

 

2

現状分析および問題点の抽出

「1現状把握」で得られた結果を「時間」および「効率」の観点で分析し、現状の業務遂行の特徴や傾向から問題点を抽出します。

1.「時間」の観点で業務の問題を把握する

業務別時間集計から現状の時間の使い方が把握したら、どの業務に時間を使い、どの業務の時間を軽減することが付加価値につながるかを検討しなければなりません。結論から申し上げると、営業部門の付加価値である売上・利益をアップするには、営業活動時間(商談時間)を増やし、他の業務時間を削減することになります。

2.「効率」の観点からの業務の問題を把握する

ただ単に「業務時間を増やす・削減する」ということだけでは生産性向上につながらないことは、ご承知のことと思われます。そこで、業務効率の観点から現状の業務遂行の特徴や傾向を分析したうえで、「どの業務時間を増やし、どの業務時間を削減する」という判断が必要になってきます。ここでは、「商談時間」を増やすうえでの留意点を、「1現状把握」の「2.顧客属性から評価・分類する」によって得られた顧客属性を用いてご説明いたします。

「2.顧客属性から評価・分類する」でランク分け・評価付けをした顧客に対して、どれぐらいの商談時間を要しているかを検証します。ABC分析で売上金額順にランク分けされた顧客とその顧客への商談時間を集計することで、営業効率性を測る指標が算出されます。(商談時間あたりの売上金額=売上金額/商談時間が高いと営業効率が高いといえます。)
一般的には、売上金額の高いAランク顧客への商談時間や訪問頻度を多くする方が受注確率は高くなると考えられますが、この指標を活用することで部門および営業担当者の営業活動実態を把握することができます。
 次表は、購買ポテンシャル分析での評価付けと顧客の取引実績をマトリックス化した表です。ABC分析よりもさらに一歩踏み込んだ分析と言えます。
上記と同様に、商談時間あたりの売上金額により指標となる数値を算出します。

<マトリックス表>

①および②に位置する顧客との商談は成果につながる確率が高いと言えますが、③に位置する顧客と商談を重ねても、成果を見込める可能性は低いと考えられます。
この顧客への訪問頻度が多い場合は、営業担当者の行動特徴として、「成果が見込めない、訪問しやすい顧客に時間を要している」と想定されます

要約すると、問題点の抽出にあたってのポイントは、以下の通りになります。

  • ◆「時間」の観点から、業務遂行の現状を把握する
  • ◆「効率」の観点から、現状の業務遂行の特徴・傾向を分析したうえで、業務時間の 増加・削減を考える
  • ◆ 顧客属性を勘案し、その属性に合った営業活動(時間の使い方)を考える

次回のコラムでは、営業部においてよく見受けられる問題点を事例として提示した上で、問題点に応じた対策について解説します。

      

古髙 伸一 株式会社YACコンサルティング 常務取締役 

中小企業の経営計画および営業戦略の策定から、経営計画にもとづく個人レベルの具体的行動計画の立案および達成するための支援を行っています。また、生産性向上を目的とした業務改善活動として部門および個人のPDCAマネジメントサイクルを確立する人材育成に注力しています。

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